
この記事では、二十四節気の清明について「天体の動き」「陰陽五行」「文化と風景」の3つの視点を軸に、図解と写真を使って視覚的にご紹介します。
天体の動きでみる清明
地球は自転軸を傾けながら公転しています。このため太陽と地球の位置関係ごとに、地上で感じる日差しの強さや日照時間が変化し、周期的な季節の移ろいが生まれます。二十四節気は、公転軌道を春分を起点に15度づつ区切った点のことで、地球の公転による季節変化を測るための指標となっています。
清明は春分から15度公転が進んだ点で、日付は2021年の場合4月4日22時35分(日本標準時)となります。春分は昼夜の長さがほぼ等しくなる点なので、そこから少し進んだ清明は、北半球では昼の長さが夜の長さをやや上回る時期となります。

太陽の光が地上に届くと、まず地面が熱せられ、次に地面の熱によって気温が上がります。つまり、陽射しの強さと気温の上がり方にはズレが生じることになり、これが暦の季節と体感的な季節が異なる原因です。二十四節気は太陽と地球の位置関係によって決まるため「熱」ではなく「光」で感じる季節区分となります。
東京の平均南中高度は立春から5~6度づつコンスタントに上がっており、清明から穀雨までの期間には63度に達します。日に日に強くなる陽射しとともに平均気温も一段と上がり、体感的にも春本番を感じられる季節となります。

立春 | 雨水 | 啓蟄 | 春分 | 清明 | 穀雨 |
40度 | 45度 | 51度 | 57度 | 63度 | 68度 |
陰陽五行でみる清明
清明は陰と陽が均衡な春分に対し、陽が少し増して優勢になった状態です。春の折り返し地点を超え、陽気が増して季節の変化が加速していく時期となっています。
立春から穀雨までの春の季節は、木の五行が盛んになる期間とされています。木の五行は陰から陽に転じる状態を表し、樹木と共通の性質を持ちます。春は日増しに太陽が高くなり、気温も上がって生命活動が活発になる季節。このことから「上がっていく」「成長する」というキーワードが樹木の性質に繋がります。

文化と風景でみる清明
二十四節気を含む古代中国生まれの暦は、その後周辺各国に伝わっていきました。そのため、季節の行事や風習はアジア各地で共通のものが多くあります。ただし、同じ節気であっても各地で気温や降水量が異なるため、季節の草花や食べ物に関しては様々です。
ここでは、二十四節気にまつわる行事や風物詩として、身近な日本のものを中心にご紹介します。

ツバメ
東南アジアなどの暖かい地域で越冬したツバメが、日本に渡ってきて軒先に巣を作ります。

お花見
桜をはじめ春の花が見ごろを迎える時期。例年お花見シーズンとなります。

シーミー
沖縄ではシーミー(清明際)が行われます。中国の清明節の習わしが伝わったものとされ、お墓の前に一族が集まり、持ち寄ったご馳走を食べて先祖の供養をします。
